消費税|国内取引における課税の4条件

税務

今回は、日々の取引の中で消費税のかかる取引について、日常業務として帳簿を作成し仕訳を計上していくなかで、その取引が消費税のかかる取引なのか、それとも消費税のかからない取引なのか迷ったときに、基本に立ち返っていつでも確認できるように、消費税の区別する基本的な考え方と、国内取引において消費税が課税される4つの条件について具体的にご紹介していきたいと思います。

ちなみに、そもそも消費税の課税となる取引には ①国内取引 と ②輸入取引 の2つに大きく区別されるのですが、今回は ①国内取引 に限定してご紹介していきます。

消費税判定の基本

まず、消費税の「課税」「非課税」「不課税」の根本的な原則をご説明します。

消費税判定の原則「課税」「非課税」「不課税」
  • 課 税 ~ 課税の条件を満たすもの
  • 非課税 ~ 課税の条件は満たすものの、課税対象としないもの
  • 不課税 ~ 課税の条件を満たさないもの

以上の通りです。

上記でいうと「課税」に区分される取引が「消費税のかかる取引」

であり

「非課税」と「不課税」に区分される取引が「消費税のかからない取引」

という事になります。

消費税における「課税の条件」とは

前段の判定の基準となるのは「課税の条件」です。

ここを理解することが消費税判定における大事なポイントとなりますので、じっくり見ていきましょう。

課税の条件にはおおきく4つあります。

国内において行うものであること(国内取引)

1つ目の課税の条件は、国内においておこなわれる取引であることです。

大原則として、消費税は日本での消費に対して課税されるものですから、国内において行われる取引でなければ消費税の課税取引とはなりません。

例えば、日本国内、仮に東京に本社を構えるA株式会社という法人があったとします。そのA株式会社が、海外進出のために、ニューヨークに支店を出店しました。そしてニューヨーク支店で商品販売等の取引をニューヨークの顧客に対して行っていたとします。こうした取引は、日本国内でおこなわれる取引ではないため、本社が東京であったとしても消費税の課税取引にはなりません。

逆に、ニューヨークに本社を置くB株式会社という外資企業があったとして、東京に支店を出店し、その支店において日本国内で、国内の顧客に対して商品販売等の取引を行った場合は、本社が海外であっても日本国内において行われる取引ですので、消費税の課税対象となります。

事業者が事業として行うものであること

2つ目の課税の条件は、事業者が「事業」として行っていることです。

消費税の課税取引は、その課税対象となる当事者を事業者(法人と個人事業主)に限定しています。

要は、事業者が事業として行う取引だけを消費税の課税対象としています。

例えば、あなたはリサイクルショップなどで不用品等を売却したことがあるでしょうか。自分の持っているものを、使用しなくなったのでリサイクルショップで買い取ってもらう、という取引は、事業者が事業として行っている取引ではなく、あなたという一個人が、個人的に使用していたものをリサイクルショップ等で売却する、という取引ですから「事業」ではありませんよね。あくまでも「個人的」な取引です。こうした取引は消費税の課税取引には該当しない、という事を意味しています。

対価を得て行うものであること

3つ目の課税の条件は、その取引が「対価」を得て行われるものかどうかという点がポイントです。

消費税は対価性のある取引だけを課税対象としています。

対価性とは、資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に対して反対給付を受け取ることをいいます。

「資産の譲渡」でいえば、コーヒー(という資産)を販売(譲渡)して100円を代金として受け取る(反対給付)というような取引のことです。

「資産の貸付」であれば、駐車場(という資産)を特定の誰かに一定期間貸して(貸付)賃料として10000円を受け取る(反対給付)というような取引のことです。

こういった対価性のある取引については原則消費税の課税対象となります。

では、逆に対価性の無い取引とはどのようなものがあるのか、という事ですが、例えば財産を無償で相手方へ与える「贈与」とか、日本赤十字やユニセフなどへの「寄付」も、単に財産を無償で与えていることになりますので、対価性がなく消費税の課税対象にはなりません。

※赤十字やユニセフへの寄付や災害義援金のような寄付の場合は対価性はありませんが、ごくまれに、寄付することによって、相手先から、寄付金相当額の商品等の返礼があったり、特定の割引サービス等を受けられる権利を有していたりするものがあり、そういった寄付は、いわゆる「見返り」のある寄付という事になりますから「見返り」=「反対給付」=「対価性のある取引」と判定され、寄付であっても消費税の課税対象となりますのでご注意ください。

資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供であること

資産の譲渡(売買など)、資産の貸付(不動産賃料など)、役務の提供(請負契約や運送契約など)が課税取引です。

前段の対価性の説明において例として取り上げた、コーヒーの販売は「資産の譲渡」、駐車場の賃貸は「資産の貸付」に該当します。

役務(えきむ)の提供というのは、簡単に言うと「サービスの提供」です。

土木工事、運送、広告、仲介、宿泊、飲食などのサービスを提供すること、また、弁護士さんや公認会計士、税理士などの専門的知識、技能等に基づくサービスの提供も含まれる、とされています。

ただし、例えば病院での医療サービスを受ける場合などのような「社会政策的配慮などから課税されないもの」は役務の提供であっても非課税取引となります。

消費税|課税の条件 まとめ

以上の4つが「課税の条件」です。

消費税を考えるときは、まずこの原則が課税の基本となります。取引によって消費税判定を覚える事も有効な方法ですが、さらに理解を深めるために、ここで紹介した課税の4条件を確認していただければと思います。