【消費税の判定】課税区分|その1

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消費税の「課税」「非課税」「不課税」の判定には、色々な条件や決まりがあり、一度に全てを覚えるのはなかなか大変です。

そこで、今回から全5回に分けまして、日常的な経理業務を想定した中で、よく使用される取引内容区分勘定科目ベースにおける消費税の課税区分の判定について「消費税判定表」という形式でご紹介します。

日常業務の帳簿作成、仕訳起票していく中で、消費税判定に迷ったときの虎の巻として、一覧をご活用ください。

part1の今回は「売上にかかる消費税」の第1弾です。

ここでは、売上にかかる消費税のうち、本業の「売上」に関連する内容の取引についての消費税判定についてご紹介します。

【消費税の判定】判定表の見方

判定表は

  • 「取引区分」
  • 「取引内容」
  • 「消費税の判定」
  • 「備考」

以上4つの項目に分けています。

また、消費税の判定については、下記の囲みの中の通り

  • 課税取引については「課」
  • 非課税取引については「非」
  • 不課税取引については「不」

という一文字で判定しています。

※上記以外に「免税取引」もありますが、あまり一般的な取引ではないため、概略は省略します。(一部備考にて説明)

判定
  •  ~ 課 税(消費税のかかる取引)
  •  ~ 非課税(課税の要件は満たすものの、課税対象としない取引)
  •  ~ 不課税(消費税のかからない取引)



【消費税の判定】売上にかかる消費税①

売上にかかる消費税①

取引区分 取引内容 判定 備考
商品売上 商品等の販売 輸出は免税
工事請負売上 完成工事高
不動産譲渡による売上 土地の譲渡借地権などの土地の上に存する権利を含む
 〃建物の譲渡
 〃土地建物一括譲渡課・非土地と建物の対価の額を合理的に区分して
土地部分は非課税、建物部分は課税
不動産貸付による売上土地賃借料収入 1ヶ月未満は課税 ※①
 〃事務所賃貸料収入
 〃駐車場賃貸収入 更地を駐車場として賃貸している場合は
非課税 ※②
 〃住宅家賃収入 アパートやマンションの一室を「事務所用」と
して契約し、賃貸している場合は課税 ※③
 〃駐車場付き住宅
賃料収入
課・非駐車場が住宅の貸付に含まれていると認められる
場合で、住宅分と駐車場分をまとめて収受してい
る場合は非課税、駐車場使用料を別に収受してい
る場合は課税 ※④
 〃店舗・事務所等
併用住宅の貸付
課・非住宅と店舗・事務所等部分を合理的に区分し、
住宅部分は非課税、店舗・事務所等部分は課税
 〃電柱使用料課・非土地等の使用許可に基づく電柱使用料は非課税
広告等のための電柱使用料は課税
 〃敷金、保証金、
共益費収入
敷金、保証金のうち返還しないもの、また
共同住宅の共有部分を入居者が応分に負担する
共益費は、家賃に含まれ原則非課税
受取手数料 仲介手数料など 土地取引の仲介手数料も課税
商品券売上 ビール券、図書券等
売上値引等 売上値引・返品



【消費税の判定】注意するポイント

土地の賃貸  ※① 

土地取引(譲渡や貸付)は、原則消費税の課税の対象とならないこととされています。

しかし、貸付のうち、賃貸期間が1か月未満の場合には非課税ではなく課税取引となります。

これは、賃貸期間が1ヶ月未満の土地の貸付の場合は、期間が短いために、土地の使用というよりも、倉庫とか物置といった一時的に保管するような意味合いが強いと考えられるためです。

また、契約書の記載で期間が「1週間」とされていて、その契約を何度も更新し続けて1ヶ月以上経過した場合も、期間判定は契約書ベースで判定しますので、賃貸期間1ヶ月未満となり、課税扱いとなりますのでご注意ください。

駐車場の賃貸 ※②

駐車場がアスファルト等によって地面が整地されていたり、フェンスや区画、駐車線や車止めなどが完備されているような場合は「駐車場賃貸業」として収入を得ているとして、課税取引となります。

一方で、単なる空き地や更地を、整地せずにそのままの状態で駐車場として貸し付けている場合は、単に土地を貸し付けていると判定され、非課税取引となります。

しかしながら、空き地や更地であっても、ロープで区画割りがされていたり、番号が書かれたブロック等によって駐車スペースを分けているような青空駐車場では、土地の貸付けには該当せず、駐車場の貸付けとして消費税を課税する、という裁判事例があります。

したがって実際には、駐車場賃貸で土地の貸付に該当し、非課税とされる事例は少ないと思われます。

実務でこういった事例に該当するような事案がある場合は、税理士さん等の専門家とよく相談の上消費税判定することをおすすめします。

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家賃収入 ※③

住宅の賃料収入は非課税です。

ですが、例えばその住宅が「住宅用」ではなく「事務所用」としての賃貸契約を結んでいる場合、その部屋にかかる賃料収入は「事務所用賃料収入」となり、課税取引になります。

契約書が重要な判断ポイントとなりますのでご注意ください。

駐車場付き住宅の定義 ※④

駐車場付きの住宅として、その全体が駐車場も含めて「住宅の貸付」とされて消費税が非課税となる定義は、一戸建住宅に係る駐車場、アパートなどの集合住宅に係る駐車場で「入居者1戸当たり1台分以上の駐車スペース」が確保、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられていて、住宅の貸付の対価とは別に駐車場使用料等を収受していないものが該当します。

したがって、駐車場使用料金を住宅家賃とは別に収受している場合、また、自動車を保有する入居者のみから収受している場合においては、その駐車場使用料金は課税取引となります。