今回は住宅ローン控除についてご紹介します。
そろそろマイホーム購入をお考えのあなた「住宅ローン控除って聞いたことあるけど、どんな制度なの?」という根本的な疑問にお答えします。
どうぞごゆるりと。
住宅ローン控除|控除の内容と正式名称
まずは「住宅ローン控除」って何?というところからご説明します。
「住宅ローン控除」という呼び名は一般的な通称です。他にも「住宅ローン減税」なんていう言い方をする場合もありますが、正式な名称は
「住宅借入金等特別控除」(じゅうたくかりいれきんとうとくべつこうじょ)と言います。
この控除は、マイホームを銀行などの金融機関からお金を借りて購入した場合において、一定の割合で計算して算出された金額をあなたの所得税から差し引く事ができるという制度です。
「控除」という文字を見ると年末調整の時によく聞く「生命保険料控除」とか「社会保険料控除」のような控除が思い浮かぶかもしれませんが、この「住宅ローン控除」はそれらの控除とは少し異なります。
どういう点で異なるかというと、「生命保険料控除」も「社会保険料控除」も所得税を計算するときに収入」から差し引く事ができる控除でした。
しかしこの「住宅ローン控除」は、「収入」からではなく算出された「所得税」から直接差し引かれるものとなります。
したがって、税金の負担を直接的に軽くする効果が絶大で、大きな「減税効果」「節税効果」が期待できます。
所得控除と税額控除の違いはコチラで解説しています。
銀行などからのローンを使わずに、自己資金(無借金)でマイホームを購入した場合にはこの控除は受けられません。
住宅ローン控除|制度の概要
もう少しだけ具体的に住宅ローン控除の制度概要をご説明します。
対象となる住宅
新築住宅の場合
- 取得日から6ヶ月以内に入居している事
- 銀行などから借入した本人の合計所得金額が3000万円以下であること
- ローンの返済期間が10年以上であること
- 床面積が50㎡以上あること
※自宅としての居住が条件なので「別荘」とか「親族用の家」などの場合には適用外
中古住宅の場合
原則的には「新築住宅」の条件と同一ですが、それ以外の条件は
- 築20年以内の建物であること(鉄筋コンクリート造などの耐火建物については築25年以内)
※耐火建物以外(通常の戸建木造住宅など)で築20年を超えていても、一定の耐火基準に適合することを証明されたものであれば控除を受けられる場合があります
リフォームの場合
原則的には「新築住宅」の条件と同一ですが、それ以外の条件は
- リフォーム工事費が100万円以上であること
※具体的な工事内容としては、大規模な模様替え、耐震基準を満たすための工事、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事などです
住宅ローン控除|減税される金額
仮の金額で計算してみます。住宅ローン控除を受けられる期間は原則「10年間」です。
そして、所得税から差し引く事ができる金額は「年末時点の住宅ローン残高 × 1%」で算出できます。つまり、向こう10年間にわたって、上記計算式で算出された金額を、あなたの所得税から差し引く事ができるのです。これ、結構大きいです。
1年目の住宅ローン残高 2000万円 × 1% = 20万円
2年目の住宅ローン残高 1800万円 × 1% = 18万円
3年目の住宅ローン残高 1600万円 × 1% = 16万円
・・・
という計算が10年目まで続きます。
住宅ローンの残高は毎年減少していきますので、控除額も毎年少なくなるというイメージですが、直接「所得税」から控除できるという事を考えると、金額的にはかなり大きいです。
収入からではなく「所得税」から直接差し引けるので、その他の控除と比べるとその「減税感・節税間」を大きく感じられることと思います。
上記の例で考えた時に、あなたの年間の所得税額が「20万円」だったとすると
住宅ローン控除があれば、
1年目、所得税額20万円 - 住宅ローン控除20万円 = 所得税0円!
という事になるのです。仮にあなたが一般的な会社員でこの住宅ローン控除の対象者だったとすると、会社員は必ず毎月の給料から「源泉徴収」という形で税金が差し引かれますので、年末調整の時に20万円が一気に戻ってくることになります。
注意点
ここで1点注意点です。住宅ローン控除で減税できる金額には上限があります。それは「あなたの所得税額」です。つまり、住宅ローン控除が20万円分あったとしても、あなたの年間の所得税額が10万円であれば、10万円までしか控除されません。
控除額が20万円あるからと言って、差引10万円が戻ってくるわけではありませんのでご注意ください。
単純計算すると
所得税額 10万円 - 住宅ローン控除 20万円 = 差引所得税 △10万円
となりますが、この計算式は間違いです!
一見所得税の10万円が全額還付され、さらに追加で10万円戻ってくるように見えますが、そうではありません。
あくまでも控除できるのは所得税額が上限ですので
という計算になります。
所得税額と住宅ローン控除の金額を比べて、上記①と②のパターンでは、控除額が20万円あるものの、所得税額がそこまで大きくないため所得税は全額控除されているものの、差し引けない金額が出ています。
一方、上記③~⑤のパターンでは、所得税分全額控除できていて、住宅ローン控除を効率的に活用できていることがわかります。
つまり、住宅ローン控除は、所得税額が大きい場合に最も効率的な減税が可能となる制度なんです。
住宅ローン控除|手続き方法
最後に、控除を受けるための手続きについても少し触れておきます。
まず、住宅ローン控除を受けようとする1年目については「確定申告」が必要です。
- 確定申告書A(1表、2表)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 源泉徴収票
- 金融機関等からの住宅ローン残高証明書
- 土地建物の登記簿謄本
- 売買契約書
- 本人確認書類
こういった書類をそろえて確定申告することで控除を受けることができます。
2年目以降は「年末調整」で控除可能です。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼証明書
- 金融機関等からの住宅ローン残高証明書
この2つの書類を、通常の年末調整の書類と一緒に会社へ提出すればOKです。
ちなみに、住宅借入金の申告書兼証明書は、9年分まとめて税務署から発行されます。また住宅ローン残高証明書は毎年、借入している金融機関から発行されます。
この書類が無ければ年末調整で控除額の計算ができませんので、くれぐれも紛失しないようお気を付けください。