今回は「雇用保険」についての解説記事です。
ここでは
給料明細見てみると、色々差し引かれいる項目あるけど
この「雇用保険」って何?
そんな素朴な疑問にお答えするとともに
といった様々な雇用保険の情報をご紹介!
雇用保険料|そもそも雇用保険とは
「雇用保険」というより「失業保険」というほうがピンとくる人が多いかもしれません。
雇用保険とは、仕事を辞めて(失業して)収入がなくなったときに「生活の安定」や「再就職の促進」を図るために、国から給付されるいわゆる「失業給付」の制度です。
したがって、雇用保険には
- 「労働者の失業に備える保険」としての役割
- 「失業者の求職活動を支えるための制度」という役割
以上の2つの大きな役割があるのです。
転職経験のあるあなたならお分かりだと思いますが、再就職先がすぐに見つからない場合、一時的に「無収入」状態になります。
しかし、無収入の状態になっても日常は続いていくわけで、生活費や社会保険などは発生し続けます。
そんなときに、雇用保険の制度によって、無収入状態になっても、最低限の生活保障と再就職活動の支えとなります。
私の場合ですが、最初の退職が「会社都合」でした。会社都合退職の場合は退職後すぐに失業給付を受けることができます。再就職活動中に給付をすぐに受けられて、とても助けられたことを覚えています。
私のような会社都合による失業時だけでなく、自己都合による退職・出産や介護等の事情で離職せざるを得ない場合でも、助けになるのが「雇用保険」という制度です。
雇用保険料|給料から天引きされる金額の計算方法
雇用保険料は、その業種によって計算方法(料率)が異なります。
ちなみに最新の雇用保険料率表は以下の通りです。
今回は「一般の事業」をもとに計算してみましょう。
上記料率表の通り、一般の事業の場合の労働者負担(社員負担)料率は3/1000です。これは、給料の金額に掛けることで計算できます。
つまり、月給30万円の場合 ➡ 30万円×3/1000=900円 です。
給料から差し引かれる雇用保険料は「900円」という事になります。
ちなみに、全体の雇用保険料率は9/1000ですから、30万円×9/1000=2700円となります。そのうち、社員負担が900円で、残りの6/1000=1800円については会社が負担しています。
雇用保険の対象となる給料についてはこちらの記事で深掘りしていますので、気になる方はご覧ください。
雇用保険料|加入要件
雇用主(会社側)の雇用保険加入要件
雇用主(会社側)は従業員を1人でも雇っていれば「雇用保険が適用される事業所」という認定になります。
そして、その従業員の雇用体系が加入の対象となる要件を満たしていれば、必ず雇用保険に加入させなければなりません。
労働者側の雇用保険加入要件
では、会社に雇用されている従業員側の加入要件を確認してみましょう。
実際には、会社と従業員との「雇用契約」「雇用形態」によって判定します。
かんたんに説明すると、いわゆるフルタイムで継続的に雇用される一般的な「正社員」は無条件で雇用保険に加入です。
一方、アルバイトやパートなどの場合は、雇用契約期間と労働時間が次の基準を満たせば雇用保険に加入することになります。
1週間の所定労働時間が20時間以上
所定労働時間とは、会社と労働者との間で取り決めした労働時間のことです。
あくまでも雇用契約上の労働時間が20時間以上であればよいので諸事情によって実際の労働時間が20時間に満たない週が何度かあっても問題はありません。
31日以上継続して雇用される見込みであること
雇用契約上で期間が31日以上あれば加入に該当します。
雇用期間が定められていない場合でも実際の勤務日数が31日以上継続して雇用されていれば加入要件に該当します。
この2つの条件を満たしている労働者を雇用する場合は会社側はその従業員を雇用保険に加入させなければなりません。
最初にも言いましたが、雇用保険は失業した時の重要な支援になります。
正社員だけでなく、パート・アルバイトでも上記要件を満たせば雇用保険の加入該当となり、失業時に給付を受けられます。
ここでその要件を確認し、あなたの労働条件が雇用保険加入に該当しているのかどうかを再確認してみることをオススメします。
雇用保険料|失業給付金
では、実際どれくらいの金額が失業給付としてもらえるのでしょうか。
失業給付の基本計算
金額の算定には、退職前の給与額や雇用保険に加入している期間、失業した理由などによって異なりますが、基本的な計算方法は下記の通りです。
①賃金日額の算定
退職前6ヶ月間の給料を合計して180日で割ります。(賞与は含めず、残業代や通勤手当などの諸手当は含めます)
②賃金日額×給付率=基本手当日額の算出
賃金日額に給付率(50%~80%、60歳~64歳については45%~80)をかけて、雇用保険の基本手当日額を算出
③基本手当日額×給付日数
失業給付としてもらえる総額が算出
給付日数については、退職理由や雇用保険の加入期間、年齢によって異なりますが、自己都合で退職した場合は最長150日、会社都合の場合は最長330日になります。
失業給付の注意点
雇用保険の失業給付を受けるためには2つの条件を満たしていなければなりません。
会社を退職してからその条件を満たしてないことがわかって、失業給付を受けられないという事もありえますので、まずは会社を退職する前に、雇用保険を受給する2つの条件を確認しておきましょう。
条件その1 雇用保険の加入期間
退職する前の2年間のうちに雇用保険の被保険者(雇用保険に加入している立場のことを被保険者と呼びます)である期間が、通算で12ヶ月以上あることが条件です。
ただし、勤めている会社が倒産するなどの要件で失業した場合は失業前の1年間に6ヶ月以上の雇用保険加入期間があれば条件を満たします。
条件その2 再就職の求職活動実績
再就職の意思があること、そして実際に求職活動をしている事、です。
通常、雇用保険の給付は4週間ごとですが、その中で最低2回以上の求職活動実績がないと給付は受けられません。
雇用保険料|会社側の手続きは?
雇用保険被保険者取得届の提出
新卒、中途採用に関わらず、雇用保険の対象となる従業員を新たに雇用する場合「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出します。
書類の提出期限は雇い入れた日の翌月10日までとなっています。
中途採用者で、前の会社でも雇用保険の被保険者であった場合には、既に前の会社で「雇用保険被保険者証」という書類が発行されており、前職を退職時に受け取っているはずです。
その書類に「雇用保険の被保険者番号」が記載されており、転職した新しい会社でも、同じ被保険者番号を利用し続けることになります。
手続きにはこの被保険者番号が必要です。
雇用保険料|まとめ
雇用保険は失業給付という点から欠かすことのできない重要な手続きです。
今一度、自分の労働条件に照らし合わせて雇用保険に該当するのであれば、しっかりと加入されているのかどうかを給料明細などで確認するようにしましょう。