先日、こんなニュースが飛び込んできました
2021年5月8日、3Mの主力商品で「付箋(ふせん)紙」の代名詞ともいえる「ポストイット(Post-it)」を開発したスペンサー・シルバーさんがアメリカ・ミネソタ州の自宅で亡くなりました。80歳でした。
現在のデスクワーク、事務仕事には欠かせないものとなっている「付箋」。
私も今までいろんな種類の付箋を使ってきましたが、いろんな付箋を使ってみて感じるのは、やはり「ポストイット」がベスト、という事です。
結局「ポストイット」が私にとっての「付箋」の原点であり、スタンダードであり、まさにベストオブ付箋なのです。
そこで今回は、私も昔から大好きで愛用している「ポストイット」についてその魅力を語りたいと思います。
故スペンサー・シルバーさんに哀悼の意を込めて。
ポストイット|ポストイットとは
デスクワーカーのあなたや事務用品好きのあなたなら、一度は使ったことがある付箋がポストイットだと思います。
数ある付箋の中でも、最も古く、最もポピュラーで、最も品質の高い商品だと思います。
そもそもポストイット「Post-it」は、紙の一端に粘着性を持たせた、いわゆる「付箋紙」の商品名です。
その粘着性は、表面に軽くくっつく程度で、しっかりとは接着しないので、簡単に貼ったりはがしたりできる性質をもっています。(※「強粘着(きょうねんちゃく)」と呼ばれる、通常の付箋よりも粘着性の高い商品も販売されています)
ポストイット|誕生ヒストリー
アメリカのスリーエム社に勤めていたスペンサー・シルバーさんは、もともと付箋の開発ではなく、強力な接着剤の研究・開発を行っていました。
その開発段階で、様々な「失敗」を繰り返していました。
そんな数多くの失敗を繰り返している中に、のちにポストイットに使われることとなる「簡単にはがれる接着剤」が偶然生まれます。
強力な接着剤を開発することが目的だったスペンサーさんにとってみれば、すぐにはがれてしまう接着剤は完全なる失敗作ですが、その接着剤を顕微鏡で覗いてみたときに、これまでの多くの接着剤では見られない不思議な現象を目にし「これは他の何かに必ず使えるはず」と感じ、社内中を回ってアイデアのアドバイスを求めました。
そんなとき、同社の研究者であり、教会の聖歌隊のメンバーでもあったアート・フライさんが、讃美歌集にはさんでいた「しおり」がヒラリと落ちたのを見てその「簡単にはがれる接着剤」を「しおり」の代わりとして使えないかと閃いたのです。
この出来事が「ポストイット」誕生のルーツです。
ちなみに、現在では付箋紙=粘着性のあるメモ用紙、という解釈が一般的ですが、もともとは、普通のメモ紙をセロハンテープや糊などで貼っておくものを「付箋」と呼んでいました。
しかし、このポストイットの登場により、貼ったりはがしたりできるくらいの、ちょうどよい粘着性を持った糊があらかじめ付いているメモ紙の事を「付箋紙」と呼ぶようになり、現在に至ります。
それまでのように、メモ紙にセロハンテープや糊を付けることなく、ポストイットを使えば誰でも手軽に簡単に小さな紙をどこにでも貼り付けることが可能になったのです。画期的で革命的な商品の誕生でした。
ポストイット|いろんな種類があります
ポストイットにはいろんな大きさ、種類、色があります。
代表的なものをご紹介します。
ポストイット|世界中のオフィスで愛されています
もともと強力な接着剤を開発しようとしていた中での「失敗作」から、世界中のオフィスで愛される「ポストイット」という「大成功商品」に生まれ変わったのですから、発想の転換、ひらめき、失敗だからと簡単にあきらめることなく、粘り強く考えることで大成功につながったとても素敵なストーリーです。
現在では、ポストイットは単なる「付箋紙」としてだけではなく、本の「しおり」として、タスクリスト代わりのメモとして、そして友人や仕事仲間へのメッセージカードとして、とにかく様々な場面で使われています。
単なる「付箋紙」としての枠を遥かに超え、人と人をつなぐ重要な「コミュニケーションツール」として世界中で活用されているのです。