掛取引|経理初心者向けやさしい解説

経理

こんにちは。事務屋さんブログ管理人イサムです。

今回は「掛け取引」について深堀りしてみたいと思います。

経理の仕事をするなかで、毎日のように「仕訳」業務をしているあなたなら、掛取引は、ほぼ毎日目にしているのではないでしょうか。

一方で、社会人1年目のあなたや、別の部署から経理に初めて配属されたあなた、さらに、簿記の資格を取って経理へ転職したばかりのあなたにとっては、実務で出会う「掛取引」は、日常的にあまりなじみがないために戸惑うこともあるかと思います。

そこで、そんな掛取引にあまりなじみがないあなたへ向けて、掛取引の基本をやさしく解説していきます。

掛取引|そもそも掛取引(かけとりひき)とは

まず、掛取引とは何かということですが、簡単に言うと、ある商品を売買する際に「商品」と「お金」の動きが同時ではなく、一定期間ずれる取引のことを言います。

  • 商品を販売したものの、代金を一定期間経過後に受け取る取引(売掛金)
  • 商品を仕入したものの、代金は一定期間経過後に支払う取引(買掛金)

上記のような取引を一般に「掛取引」といいます。

私たちが、コンビニやスーパーなどで普段買い物をするときには、その場でお金を支払って商品を購入しますが、そういった取引形態とは異なり、企業間取引、つまりBtoB事業においては、この掛取引が基本の取引形態となります。

そして、この仕組みを理解することは経理業務にとっての基本中の基本です。

掛取引|売掛金と買掛金

この掛取引には、特徴的な勘定科目を用います。

それが「売掛金(うりかけきん)」と「買掛金(かいかけきん)」です。

例えば

建築材料の卸売業を営む「業者A」が

  • 「商社B」から建築資材を掛取引で仕入
  • 仕入れた建築資材を得意先の「工務店C」へ掛取引で販売

という一連の取引があったとします。

この場合、「業者A」の立場で考えると

  • 商社Bからの仕入れ ➡ 買掛金
  • 工務店Cへの販売 ➡ 売掛金

という形になります。

いずれも企業間取引であり、一般消費者は絡んでいません。こういった取引が企業間で行われる「掛取引」の基本的な流れとなります。

掛取引|同じような取引で使われる「未収・未払」との違い

売掛金・買掛金と同じような取引で使われる勘定科目に「未収金(みしゅうきん)」と「未払金(みばらいきん)」というものがあります。

この両者の勘定科目も、代金の受け取り・支払が、一定期間経過してから発生する取引に使用する、売掛金や買掛金と同じような掛取引と似た性質を持っています。

そんなよく似た勘定科目なのですが、実は決定的な違いがあります。簡単なことですからここでしっかりとその違いを理解しておきましょう。

それは、売掛金と買掛金は「あなたの営む本業の事業に直接関連する売上・仕入にのみ使用する」という点です。

したがって、

勘定科目で「売上」「仕入」を使用する本業関連の取引には「売掛金」と「買掛金」を使用し、それ以外の、つまり本業の事業に「間接的」に関わるもので、掛取引のような入金や支払が一定期間ずれる取引が出てきた場合には「未収金」と「未払金」という勘定科目を使って処理すればよいのです。

この違いをはっきり区別し理解しましょう。

まとめます。

  • 「売掛金」➡「売上代金の未回収分」に対して使う勘定科目
  • 「未収金」➡「売上代金以外の未回収分」に対して使う勘定科目
  • 「買掛金」➡「仕入代金の未払い分」に対して使う勘定科目
  • 「未払金」➡「仕入代金以外で、単発的に発生する代金の未払い分」に対して使う勘定科目

という分類になりますので、覚えておきましょう。

※ちなみに…

「未払費用(みばらいひよう)」という未払金によく似た勘定科目もあります。

この勘定科目は「仕入れ代金以外で、継続して発生する代金の未払い分」に対して使う勘定科目となります。

掛取引|まとめ

売掛金や買掛金の掛取引は、規模が大きくなればなるほどその処理する件数も膨大となり、かなり大変な作業となってしまいます。

しかしながら、掛取引のタイムラグをきちんと理解して、会計ソフトなどを利用してしっかりと管理ができれば、それほど難しいものではありません。

特に最初のうちは、取引が少ない得意先などを抜粋して、手書きやエクセルなどで管理台帳を自分で作成してみてください。そうすると掛取引の動きが理解できて、しっかりと掛取引の感覚が身に付きますよ。