今回は「財務諸表」（ざいむしょひょう）について解説します。
財務諸表と聞くと「何のことやら…」と少し難しく感じるかもしれません。
しかし、商売を行う上で財務諸表の内容を理解することが非常に重要なポイントとなります。
そこで、この記事では財務諸表について深掘りしていきたいと思います。
財務諸表｜結論です
黒字・赤字がわかる
財務諸表（ざいむしょひょう）とは、事業の財務状況・業績を正確に把握することのできる各種一覧表類のことをいいます。
- 会社がどれだけ財産を持っているのか
- 会社どれだけ儲かったのか
- 会社の借金はいくらあるのか
- 会社の業績は黒字だったか赤字だったか
上記のような事業の内容を確認するために必要不可欠な情報が確認できる資料が「財務諸表」です。
結論：会社の健康診断書です
したがって、この財務諸表を見ることで、その企業の経営状況や資産状況がどういう状態なのか、財務内容的に「健全な会社」なのか「不健全な会社」なのかがわかります。
その意味で、財務諸表は「会社の健康診断書」と言えるのです。
健康状態の良し悪しが直接人体に影響するのと同じように、会社の場合も、財務諸表で読み取れる企業の健康状態の良し悪しは、経営に直接影響します。
「財務諸表の数字が健康的」であるという事 ➡ 会社経営が順調・黒字企業、内部にたくさんの資産（現金や預貯金）を蓄えているような状況
「財務諸表の数字が不健康的」であるという事 ➡ 会社経営が不調、赤字企業、債務超過に陥っていて、なにかしらの対策（手術）が必要な状況
常日頃から、財務諸表を確認し、現在の会社の状態が健康なのかどうかを見極め、なるべく健康的な状態を継続して保っていかなければ、会社は存続して（生きて）いけません。
そのような状況把握のために、財務諸表が活用されています。
財務諸表｜代表的なものは何？
財務諸表とは、色々な書類が集まってまとめた一式を呼んでいますので、ここでは代表的な財務諸表をいくつかご紹介したいと思います。
どれも重要な書類には変わりありませんが、それぞれ違った特色があるので、その特色に注目しながらご確認ください。
貸借対照表（たいしゃくたいしょうひょう）
貸借対照表とは、会社の現金や普通預金、借入金などに代表される「財産」関連の数字を示す資料です。
balance sheet（バランスシート）略してB/S（ビーエス）と呼ばれています。
貸借対照表の深掘記事はコチラ
損益計算書（そんえきけいさんしょ）
損益計算書は、会社の売上や仕入、経費や利益など「儲け」関連の数字を示している資料です。
profit＆loss statement（プロフィット＆ロスステートメント）略してP/L（ピーエル）と呼ばれています。
損益計算書の深掘記事はコチラ
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書とは、会社のキャッシュ（現金及び現金同等物）の動きを示す資料です。
貸借対照表・損益計算書とは少し違った視点から作成される資料で、近年、貸借対照表や損益計算書よりも重要度が増してきている注目すべき資料です。
会社の取引には、売上が計上されてもすぐにキャッシュが手元に入らず、２か月後に入金になったりする取引があります。逆に支払の場合も、費用計上されてから、実際の支払は１か月後、という取引もあります。
さらに、建物や機械などの高額な支払をする場合、最初に一括で代金を支払うものの、その費用としての効果が、その後何年もかけて毎月少しずつ計上されていくという取引もあります。（減価償却費といいます）
減価償却費の深堀記事はコチラ
というように、貸借対照表や損益計算書に現れる費用や収益のタイミングと、それに付随して発生するはずのキャッシュの増減に「時期のズレ」が生じることがあるため、貸借対照表や損益計算書だけでは読み取れないキャッシュの動きというものに特化して、その動きだけを示す資料として、このキャッシュフロー計算書が存在しています。
「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」以上の３種類が、会社にとって特に重要な書類であることから、３つまとめて【財務三表（ざいむさんぴょう）】と呼ばれています。
株主資本等変動計算書（かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ）
株主資本等変動計算書は、会社の資本金や利益などの変動を示す資料です。
個別注記表（こべつちゅうきひょう）
個別注記表は、会社が選択採用している会計処理の補足事項などを示す資料です。
以上が代表的な財務諸表の種類です。
ちなみに…
１年分の貸借対照表と損益計算書をまとめたものを「決算書」（けっさんしょ）と呼びます。また、毎月作成する貸借対照表と損益計算書のセットは「月次試算表」（げつじしさんひょう）と呼ばれています。
財務諸表｜日々の取引の集大成
会社では、毎日の取引を簿記によって記録し積み上げていきます。そしてそのデータを毎月集計し、月ごとの月次試算表を作成します。
その処理を１年間繰り返し、取引全てをまとめ、修正すべき箇所を修正し、最終的に完成した企業の取引の集大成となる資料が「財務諸表」です。
日々の取引が全てまとめられた財務諸表は、経営者が経営判断に利用する重要な書類です。また、国や地方公共団体への税金の納付のための計算基礎資料でもあり、銀行から融資を受ける際にも必要な報告資料でもあります。
以上のように、会社にとって様々場面で活用される非常に重要な書類なのです。
財務諸表｜メリット
あなた自身のキャリアアップ
財務諸表が読み解けると、会社の業績判断が容易にできるようになります。
財務諸表を読み解くためには、簿記の知識があるとかなり有利なのですが、日々仕訳に接する経理担当者は、自社の仕訳入力や資料作成の経験を積み重ねていくことで、自然と財務諸表を読み解くスキルが身につくでしょう。
そうすると、経理事務員としての役割だけでなく、重要な経営判断のアドバイスができるような、経営者の右腕として活躍する重要なポストに昇進したり、経理の専門性を求められる職種への転職につながったりなど、ポジティブな影響、あなた自身のキャリアアップにつながる期待が持てます。
独立・起業に役立つスキル
フリーランスとしての独立や、会社の起業を考えている場合であれば、事業内容の数字を的確に理解し、起業間もない事業の方向性を正しく導くために役立てることができるでしょう。
株式投資にも役立ちます
四季報（上場企業の業績等がまとめられたもの）の内容を読み解き、株式投資の判断材料に活用できる可能性もあります。
以上のとおり、財務諸表を読み解くスキルは事業規模の大小、法人・個人、職種・部門を問わず、あらゆるビジネスの場面で平等に役立ちます。
